
OpenSeaに現れた100個限定のNFTバーキン
Updated: Feb 8, 2022
この記事は音声メディアVoicyにて、美輝エルメが自身のラジオ番組「ニューヨーク/ 未来を変える生き方」でお話している台本の内容を文字に起こしたものです。
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Fashion x NFT
今日は私の大好きなファッションとテクノロジーのお話しを少ししたいと思います。
最近NFTが流行ってると思いますが、今年に入ってから、本当にたくさんのファッションブランドがNFT市場に参入しています。
簡単にお伝えすると、NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、データ管理にブロックチェーン技術を活用することで改ざんすることができない仕組み
のこと、そしてデジタルアートと「NFT」を掛け合わせた作品のことをNFTアートと呼びます。
ちょっとここでNFTが何か詳しく説明してしまうと長くなってしまうので知っている前提でお話しをさせて頂きますが、もしよく知らないという人がいたら、まずはNFTとは何かについてググってみてください。
アメリカ女性ファッションデザイナーで初NFT市場に参入したレベッカミンコフ
今年に入ってから、本当にたくさんのファッションブランドがNFT市場に参入しています。
私も今年の9月に行われたNYFWに行ったのですが、アメリカのファッションブランド、レベッカコンコフがアメリカの女性ファッションデザイナーで初めてNFT市場に参入したということで話題になりました。
ちなみにそのイベントでの様子をInstagramに9月14日に投稿しているので、よかったらそちらもぜひ見てください。
また現在はドルチェガッバーナ、グッチ、ジバンシィ、バーバリーなどのブランドが次々にNFT市場へ参入しており、短編映画からビデオゲームの中のアクセサリーまで、さまざまな形でNFTをリリースしています。
そんな中、今日はこのNFTアート関連で最近ちょっとニュースになったメタバーキンのお話をしようと思います。
100個限定のバーキン⁉︎
数週間前にNFTのマーケットプレイスOpenSeaで、エルメスの100個限定の新しいデザインのバーキンがNFTアートで発売されました。
デザインはフェイクファーを使用したものばかりで、モナリザやゴッホの絵をファーであしらったものが印象的でした。

Credits : Mason Rothschild
ですが、これらはエルメスのブランドから公式にNFTとして発売されたものではなく、デジタルアーティストのMason Rothschild氏が作ったものです。
市場ではメタバーキンと呼ばれて話題になり、0.1イーサリアムで約450ドルで当初は市場に出されました。
その後、物によっては450ドルからメタバーキンの価値が約100倍以上の値段で取引されたものもあり、安くても4-5倍の価格に上がっていたそうです。
エルメスのバーキン vs メタバーキン
しかし今回のケースはデジタルアーティストがブランドの許可を得ずに勝手に制作し販売して利益を得ているので、エルメスの知的財産権と商標権を侵害している可能性があるという批判の声もあがっていました。
アーティスト側は、これは芸術的なアイコンと私のアートのリミックスだと主張していましたが、これに対してもいろんな声が上がっています。
実際に本物のバーキンはどんどん市場価値が上がっていくので、現在は金よりも良い投資だという風に言われていますが、NFTアートは価格変動が予想できないので、長期的に見るとメタバーキンの価値が上がる保証はないという危惧もされています。
メタバーキンが大炎上
そしてついに12月22日、メタバーキンを作ったデジタルアーティストのMason Rothschild氏がメタバーキンについて、エルメスから正式な知的財産侵害行為として販売中止の通告を受けたようで、Rothschild氏がこれに対してSNS上でメッセージを公表しました。
まず、エルメス宛には「私の作品で嫌な思いをしたなら申し訳ないが、アーティストとして私は謝る気はない。これは私自身のアートであり、私はいつもファッションやカルチャーにポジティブな貢献をしたいと思っている。」
と主張しています。
また、NFTマーケットプレイスのOpenSeaではすでにメタバーキンの作品が排除されてしまった様で、OpenSeaに対してRothschild氏は、「法的な処置を撮る前に勝手にメタバーキンを取り下げたことで大変失望させられた。OpenSeaはアーティストやNFTコレクターを繋ぐイノベーティブな場所として、アーティスト側に立つべきなんじゃないか?」
と異議を唱えています。
そしてRothchild氏は、NFTをやっている全ての人に向けて「Dear community」と宛てたメッセージを発表し、「エルメスの権力によって、自分のアートワークが終わらせられた。こんなことがあっていいのか?これは私だけの問題ではなく、NFTに関わる全ての人たちに投げかけ、考えたい問題だ!みんなで一丸となってこの問題に立ち向かっていこう!」
というニュアンスの文章をSNS上で投稿しました。
今後のファッション業界におけるNFTは?
私も数週間前にこのメタバーキンの存在を知ったときに、何か起こるのではと思っていましたが、案の定このようにエルメスからのクレームが入り、炎上してしまいました。
ブランドの知的財産権や商標権をめぐるアーティストとの揉め事は、NFTではなくてもこれ迄に多々起きています。
Rothschild氏は「Art is Art」と述べていますが、今回のNFTアートはメタバーキンという誰もが知っている「バーキン」というバッグの名前を使ってバーキンのデザインを使用して売り出し、多くの人の注目を浴びたので、流石にこの状況を見て、エルメスも何か措置を取るのではと思っていましたが、やはりこのようなことになったようですね。
ファッション業界もどんどんNFTに注目し多くのブランドが参入していく中で、メタバーキンのようにデジタルアーティストが作った公式ではないブランドのNFTも今後増えるだろうと言われています。
私もファッションビジネスという観点からさらにNFT市場に注目していきたいと思います。
この記事は音声メディアVoicyにて、美輝エルメが自身のラジオ番組「ニューヨーク/ 未来を変える生き方」でお話している台本の内容を文字に起こしたものです。
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